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退職代行を使ったあと、最後の月の給料がちゃんと入るのか。いつまでに入るのか。会社に行かずに辞めると、この2つが一番気になるところだと思います。
結論から書くと、働いた分の給料は退職代行を使っても受け取れます。支払いの期限は2通りです。会社の給料日に払われるか、辞めた人が請求して条文の期限で払われるか。この記事では、給料日・退職日・請求日のどれから数えるかを表にして、振込先の伝え方や遅れたときの手順までまとめました。

- 退職した人が請求すると、会社は7日以内に賃金を払う(労働基準法23条)
- 請求がなければ、就業規則や賃金規程に書かれた通常の給料日に払われるのが基本
- 賃金は通貨で、直接、全額払う決まり。会社が勝手に差し引くことはできない(24条)
- 金額に争いがあっても、会社は争いのない部分を7日以内に払う義務がある
- 退職日までに払われなかった賃金には、退職日の翌日(退職後に支払期日が来る賃金は、その支払期日の翌日)から払う日まで年14.6%の遅延利息がつく場合がある(賃金の支払の確保等に関する法律。23条の7日とは別の決まり)
- 退職代行は連絡係。金額を争うなら労働組合か弁護士の出番になる
最後の給料は「2つの決まり」で払われる
最後の給料の支払い時期は、会社ごとに決まっている給料日と、法律にある退職時の請求の2本立てです。どちらで動くのかを分けて考えると、混乱しません。
決まりその1:会社の通常の給料日
労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使う会社に就業規則の作成を求めています。書くべき項目には「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期」が入っています。つまり、常時10人以上の会社なら、締め日と支払日は就業規則か賃金規程に書いてあるはずです。
また、賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて払う決まりがあります(24条2項)。退職した月の分も、特別な申し出をしなければ、この通常の給料日に払われるのが基本です。
決まりその2:退職者の請求から7日以内
労働基準法23条は、退職した労働者の請求があれば、7日以内に賃金を払うよう会社に求めています。同じ条文で、積立金や保証金など労働者の権利に属する金品も返すことになっています。
給料日まで待てない人は、この請求が使えます。ただ、通常の給料日が請求から7日より近いときの扱いは、条文には書かれていません。その場合は、労働基準監督署などで確認してください。
| 比べる点 | 通常の給料日で受け取る | 退職後に請求して受け取る |
| 根拠 | 就業規則・賃金規程(労基法89条)と24条2項 | 労基法23条1項 |
| 期限の数え方 | 会社が決めた支払日 | 請求が会社に届いた日の翌日から7日以内 |
| 手続き | 特になし | 請求したことが日付つきで残る形で出す |
| 向いている人 | 給料日まで待てる人 | 給料日が遠く、生活費が足りなくなる人 |
給料日・退職日・請求日から期限を数える
7日の数え方は、民法の期間の計算を使います。民法138条は、法令に別段の定めがなければ民法の期間の規定に従うと定めていて、23条に別の数え方は書かれていないからです。140条は、日で期間を定めたときは初日を数えないとしています。141条は、期間は末日の終了で満了するとしています。
起点ごとに整理すると次の表のとおりです。
| 起点にする日 | 何を指すか | 期限の数え方 |
| 支払日(給料日) | 賃金規程にある、その月の分の支払日 | その日がそのまま期限になる |
| 退職日 | 契約が終わる日 | 退職日だけでは7日は動かない。請求があって初めて23条の期限が始まる |
| 請求日 | 請求が会社に届いた日 | 届いた日の翌日から数えて7日目が末日(民法140条・141条) |
届いた日の翌日から数えるので、請求が会社に届いた曜日から数えて、翌週の同じ曜日が末日になります。月曜に届いたなら翌週の月曜です。末日が土日祝日に当たるときの扱いは、条文だけでは決まらないので、労働基準監督署に確認してください。
具体例:月末締め・翌月25日払いの会社の場合
月末締め・翌月25日払いの会社で、退職日が月の途中だったとします。通常なら、その月の分の給料は翌月25日に払われます。
給料日までに生活費が足りなくなるなら、退職後に請求できます。たとえば請求が金曜に会社へ届けば、翌週の金曜までが7日以内です。日割りの計算方法や退職月の給料の中身は、賃金規程で決まります。条文に計算式はないので、規程で確認してください。
月給のような期間で決まった報酬について、民法624条は、期間が過ぎたあとに請求できると定めています。最後の給料を請求するなら、働いた期間が終わってからになります。
退職代行を使ったときの請求の出し方
退職代行を頼んだあとも、給料を受け取る権利は本人にあります。会社への連絡は、代行業者が先に入れてくれます。
誰が何をしてくれるか
退職の連絡は運営元を問わず頼めますが、給料の金額が争いになったときの交渉は別です。弁護士法72条は、弁護士や弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことを業とするのを禁じています。民間企業が運営する退職代行は、本人の意思を伝える役割までと考えておくのが安全です。この点は「退職代行は違法?」で詳しく書いています。
| 運営元 | 給料の支払いについてできること |
| 民間企業 | 「最後の給料を指定口座に振り込んでほしい」という本人の希望を伝える。金額の交渉は任せにくい |
| 労働組合 | 団体交渉で支払いを求められる |
| 弁護士 | 未払い分の請求や、相殺の主張への反論まで任せられる |
請求は日付が残る形で出す
23条の7日は、請求が会社に届いたことが前提です。口頭だけだと、いつ請求したのかが後から分からなくなります。メールか書面で、振込先と「最後の給料の支払いを請求します」という内容を送り、控えを残しておくのが安心です。
会社へ連絡が入ったあとの流れは「退職代行を使うと会社から連絡は来る?」にまとめています。

受け取り方は3通り:振込・現金・デジタル払い
賃金は「通貨で、直接労働者に、その全額を」払うのが原則です(24条1項)。厚生労働省のページにも同じ説明があります。賃金は通貨で全額を労働者に直接、毎月1回以上、一定期日を定めて払うものです。例外として、労働者の同意があれば銀行などへの振込にできます(労働基準法施行規則7条の2)。
| 受け取り方 | 決まり | 退職代行を使うときの確認点 |
| 銀行振込 | 労働者の同意を得て、労働者が指定する金融機関の預金・貯金への振込にできる(施行規則7条の2第1号) | 在職中と同じ口座でよいか、変えるかを書面かメールで伝える。口座は本人名義にする |
| 現金手渡し | 通貨で直接払う原則どおり(24条1項) | 会社に行かずに済ませるには、振込への切り替えを申し出る必要がある。振込にするかどうかは本人の同意で決まる |
| デジタル払い | 指定資金移動業者の口座への資金移動。労働者が選べるよう別の方法も用意し、説明のうえ同意を得る必要がある(同条第3号) | 退職後も使える口座か、会社が対応しているかを確認する。分からなければ振込を選ぶ |
退職代行の依頼時に、振込先の口座を会社へ伝えるかどうかを聞かれることがあります。事前に在職中の口座を確認しておくと、話が早く進みます。
差し引かれる金額と、「相殺する」と言われたとき
給料から引かれるものは、社会保険料や所得税のように法令で決まっているものが中心です。それ以外を引くには、労働者の過半数で組織する労働組合か、過半数を代表する者との書面による協定が必要です(24条1項ただし書)。
会社が損害賠償や貸与品の弁償と相殺しようとしたら
「辞めるなら損害賠償を払ってもらう。だから給料は出さない」と言われるのは、よくあるパターンです。24条は全額払いを求めていて、法令や労使協定の定めがないのに引くことは認めていません。損害賠償と給料の相殺が許されるかどうかは個別の事情で決まるため、条文だけでは言い切れません。相殺を言い出されたら、まず金額と理由を書面かメールで出してもらってください。損害賠償の請求を受けたときの動き方は「退職代行を使うと損害賠償を請求される?」で整理しています。貸与品の返し方や、返さないまま辞めたときの扱いは「退職代行で辞めるときの私物と貸与物の返し方」に書きました。
争いがある部分があっても、争いのない部分は払う
23条の2項には、もう一つ定めがあります。賃金に関して争いがある場合でも、使用者は異議のない部分を同じ7日の間に払わなければなりません。
たとえば、損害賠償の話で揉めていても、会社自身が認めている基本給の部分まで止める理由にはなりません。全額が争いになっているわけではないので、認められた分だけでも払うよう求めてください。
有給と社会保険料の扱い
有給休暇が残っているときの辞め方は「退職代行で有給は消化できる?」にまとめています。退職月の社会保険料の引かれ方は、退職日で変わります。詳しくは「退職日は月末と月の途中のどちらがいい?」を見てください。
払われないとき:遅延利息・罰則・時効・相談先
期限を過ぎても入金がなければ、次の順で動きます。
| 段階 | やること | 根拠・補足 |
| 1. 書面で催促 | 期限と金額を書いて再度請求する。控えを残す | 23条の期限を過ぎていれば、違反を伝える根拠になる |
| 2. 労働基準監督署に相談・申告 | 賃金不払いの事実を申告できる | 労基法104条。申告を理由にした解雇や不利益な取扱いは禁止されている。23条から27条までの違反には30万円以下の罰金がある(120条) |
| 3. 労働組合・弁護士に依頼 | 支払いを求めて交渉する | 金額に争いがあるときはこちら |
遅れた分には利息がつく場合がある
賃金の支払の確保等に関する法律6条は、退職した労働者の賃金を退職日までに払わなかった場合の遅延利息を定めています。退職日の後に支払期日が来る賃金なら、その支払期日までです。退職日の翌日から払う日までの日数に応じて、遅延利息がつきます。支払期日が退職日より後の賃金は、その支払期日の翌日からです。率は政令で年14.6%と定められています。
天災地変や、賃金の存否について裁判所や労働委員会で合理的な理由により争っている場合などは、その期間の利息がつかない例外もあります(同法施行規則6条)。
時効は当分の間3年
賃金の請求権の時効は、労基法115条で5年とされています。ただし労基法143条により、当分の間は退職手当を除く賃金の請求権が3年です。放っておくと請求できなくなるので、払われないままなら早めに動いてください。残業代の請求は「退職代行で未払い残業代は請求できる?」で割増率と計算例を載せています。
会社が倒産していたら
会社の倒産で賃金が支払われないまま退職したときは、未払賃金の立替払制度があります(賃金の支払の確保等に関する法律7条)。労働者災害補償保険の適用事業の事業主が破産手続開始の決定を受けた場合などが対象です。条件があるので、労働基準監督署に確認してください。
最後の給料と一緒に確認する書類
給料の振込先だけでなく、書類の受け取りも確認しておくと安心です。所得税法226条は、年の途中で退職した人の源泉徴収票について、退職の日以後1か月以内に交付するよう定めています。転職先での年末調整や確定申告に使うので、届かなければ連絡してください。
離職票や社会保険の手続は、失業保険や任意継続に関わります。「退職代行を使うと失業保険はもらえる?」と合わせて確認してください。
給料の支払いで揉めそうなときの頼み先
状況ごとに、頼み先を整理します。
金額で争いになりそうな人
相殺や賠償の話が出ていて、会社と金額を話し合う必要があるなら、団体交渉ができる労働組合の退職代行が合います。
女性なら、同じ労働組合が運営する【わたしNEXT】も選べます。
未払い分を確実に請求したい人
最後の給料に加えて、残業代など未払い分が複数ある場合は弁護士が向いています。未払い給与・残業代の請求は、獲得できた場合に成功報酬が20〜30%かかる形です。
ほかのサービスも比べたいときは「退職代行おすすめ比較ランキング」を見てみてください。
料金は2026年9月時点で各サービスの公式サイトを確認したものです。法令は2026年10月に e-Gov 法令検索で確認しました。制度や条文は変わることがあるので、手続きの前に労働基準監督署や各社の公式サイトでも確かめてください。個別の事情の判断は、窓口や弁護士にご相談ください。
































