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退職代行を使って辞めたら、これまで積み立ててきた退職金は本当にもらえるのか。「勝手に辞めるなら出さない」と言われそうで、動き出せない人もいると思います。
結論から書くと、退職金が出るかどうかは、会社の就業規則に書かれた条件で決まります。退職の連絡の方法は、厚生労働省のモデル就業規則では条件に入っていません。そもそも退職金は法律で必ず払うものではないため、まず自分の会社に制度があるかを確かめるのが先です。

- 退職金は法律で義務づけられていない。就業規則などに定めがあるか、払ってきた慣行があれば請求できる
- 厚生労働省のモデル就業規則で、退職金を払わないことがあるのは懲戒解雇された人だけ
- 請求できる期間は退職手当で5年。未払いの賃金(3年)より長い
- 会社に退職金を請求・交渉できるのは弁護士か労働組合。民間の退職代行は意思を伝えるところまで
退職金は「法律で必ず出るもの」ではない
宮城県の労働相談Q&Aには、退職金は法律に定めがなく、会社が就業規則などで定めるものだと書かれています。なので「何年勤めたから当然もらえる」とは言えません。
ただし制度がある会社なら話は別です。労働基準法89条は、退職手当を設けるなら就業規則に書くよう求めています。書く内容は、対象になる労働者の範囲と計算の方法、それに支払いの時期です。つまり制度があるなら、条件は文章で残っているはずです。
就業規則がなくても請求できることはある
広島県の労働相談Q&Aによると、明文の規定がなくても請求の根拠になる場合があります。これまで退職金が払われてきた慣行や、個別の合意がある場合です。労働条件通知書や雇用契約書、過去に辞めた人の扱いも確認しておくと材料になります。
規定があれば「賃金」として守られる
就業規則や労働契約で支給の基準が決まっている退職金は、労働基準法11条の「賃金」にあたります。賃金は24条で全額を支払うのが原則です。決まった額を会社が一方的に減らすのは、問題になり得ます。
退職代行を使ったことは、支給の条件に入るのか
厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の第54条は、労働者が退職し、または解雇されたときは退職金を支給すると定めています。例外は、懲戒解雇された者に全部または一部を支給しないことがある、という点だけです。
この条文に「退職の連絡を本人がしたか」「代行を使ったか」という条件は出てきません。あくまでモデルなので、自社の規則が同じとは限りません。それでも、不支給や減額の事由を設けるなら就業規則に明記する必要がある、とモデルの解説に書かれています。
問題になりやすいのは、懲戒解雇の方
モデル第68条の懲戒解雇の事由には、無断欠勤があります。正当な理由なく一定の日数以上に及び、出勤の督促にも応じなかったときです。退職代行を使うときも、連絡のないまま欠勤を重ねる形は避けた方が安全です。
懲戒処分は、就業規則に定めのない事由ではできません。この点もモデルの解説にあります。退職金とのからみは「退職代行を使うと損害賠償や懲戒解雇になる?」にも書きました。
就業規則のどこを見るか|退職金の確認表
退職金の有無は、次の8項目を順に確かめれば見えてきます。就業規則は、労働基準法の周知義務によって、従業員が見られる形にしておく決まりです。人事や総務に聞きにくければ、社内の共有フォルダや備え付けの冊子を探してみてください。
| 確かめること | 就業規則で探す場所 | 結果が変わるところ |
| 1. 制度があるか・自分が対象か | 「退職金」「退職手当」の章と、適用範囲の条 | パートや契約社員は別の規則に書かれていることがある(モデル第2条) |
| 2. 勤続年数の条件 | 退職金の支給条項 | 最低勤続年数が書かれていれば、満たさないと出ない。モデルの第54条には年数の条件がない |
| 3. 自己都合と会社都合の区分 | 退職金の額の条項、支給率の表 | 区分によって額が変わる規則もある。どちらに当たるかは規則の定義で決まる |
| 4. 不支給・減額の事由 | 支給条項のただし書き、懲戒の章 | 懲戒解雇のほかに、書かれている事由がないか |
| 5. 計算の方法 | 退職金の額の条項 | モデルでは退職時の基本給に勤続年数ごとの支給率をかける例が示されている(第55条) |
| 6. 支払いの時期と方法 | 退職金の支払いの条項 | 時期を決めていなければ、請求から7日以内(労基法23条) |
| 7. 外部の共済に入っているか | 「中小企業退職金共済」「特定退職金共済」の記載、加入証明書 | 中退共は、掛金を納めた月数で支給の有無が決まる |
| 8. 請求できる期限 | (規則ではなく法律の定め) | 退職手当は5年で時効にかかる |
※労働基準法89条・23条、厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)、広島県と宮城県の労働相談Q&Aから作りました。規則の書き方は会社ごとに違います。
見つからないときは、「退職金規程」という名前で規則と別の冊子になっていないかも探してください。それでもなければ、労働条件通知書と雇用契約書が次の手がかりです。

自己都合と会社都合で金額は変わるのか
自己都合と会社都合で、実際の金額はどれくらい違うのか。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」には、退職事由別の平均額が載っています。
| 退職事由(単位:万円) | 大学・大学院卒(管理・事務・技術職) | 高校卒(管理・事務・技術職) | 高校卒(現業職) |
| 定年 | 1,896 | 1,682 | 1,183 |
| 会社都合 | 1,738 | 1,385 | 737 |
| 自己都合 | 1,441 | 1,280 | 921 |
※令和5年就労条件総合調査。勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の1人平均退職給付額です。
読むときの注意が3つあります。
- 対象は勤続20年以上かつ45歳以上の人です。若い人や勤続の短い人の相場ではありません
- 現業職では自己都合の方が高く出ています。「自己都合だから必ず少ない」とは言えません
- この調査の対象企業のうち、退職給付制度があるのは74.9%です。制度のない会社もあります
自分が自己都合と会社都合のどちらで扱われるかは、規則の定義と照らして確認します。雇用保険の離職理由は別の話です。そちらは「退職代行と失業保険」に書いています。
いつまでに請求できて、いつ払われるのか
時効は退職手当で5年
厚生労働省のリーフレットでは、賃金請求権の時効は当分の間3年とされています。一方で、退職金請求権は現行5年のまま変わっていません。
つまり未払いの給料より、退職金の方が請求できる期間は長いということです。とはいえ時間がたつほど証拠は散らばります。気づいた時点で動いておくのが無難です。
支払いの時期は規則の定めによる
モデル第56条は「支給事由の生じた日から◯か月以内」と書く形です。◯の中身は会社が決めます。退職金は、給料のように翌月の給料日に自動で入るとは限りません。時期が決まっていない場合は、請求から7日以内に払うことになります。
中退共に入っている会社の場合
会社が中小企業退職金共済(中退共)に入っていると、退職金は会社の規則とは別に、共済から支払われます。広島県のQ&Aには、退職すれば就業規則に基準がなくても請求権が発生する、と説明があります。
中退共の公式Q&Aによると、金額は掛金を納めた月数で次のように変わります。
| 掛金を納めた月数(中退共の表記) | 退職金 |
| 11月以下 | 支給なし |
| 12月以上23月まで | 掛金の納付額を下回る額 |
| 24月以上42月以下 | 掛金の納付額と同じ額 |
| 43月以上 | 運用利息などが加算される |
※通算制度や他の制度からの引き継ぎがあると、11月以下でも支給される場合があります。
会社が払わないとき、誰に頼めるか
退職金の支払いを会社に求めるのは、法律的な問題を扱う行為です。東京弁護士会の注意喚起では、退職金の問題を弁護士でない業者が本人に代わって会社と話し合うと、非弁行為になる可能性があると説明されています。
| 運営元 | 退職の意思を伝える | 退職金について会社と話す |
| 民間企業 | できる | できない(非弁行為になるおそれ) |
| 労働組合 | できる | 団体交渉として話せる |
| 弁護士 | できる | 代理人として話せる |
労働組合法6条は、組合が使用者と交渉する権限を持つと定めています。7条2号は、会社が正当な理由なく団体交渉を拒むことを禁じています。ただし東京弁護士会は、組合が交渉する場合も非弁行為にならないとは限らない、と書いています。
運営元ごとの違いは「弁護士の退職代行とは」にまとめています。
退職金の扱いが気になる人の頼み先
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規則の確認と意思の連絡を頼みたい人
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退職金でよくある疑問
引き継ぎをしないと退職金は出ませんか?
引き継ぎをしなかったことが不支給の事由として書かれているかを見ます。モデルで不支給にできるのは懲戒解雇のときです。賃金にあたる退職金を、規則にない理由で減らすことは問題になり得ます。
パートや契約社員にも退職金は出ますか?
適用範囲の条に書かれた労働者が対象です。パート向けの別の規則がある場合は、そちらを見てください。契約社員の辞め方は「契約社員の退職代行」で扱っています。
「うちには退職金制度がない」と言われました
規則に定めがなくても、慣行や個別の合意があれば請求の根拠になります。同じ職場で辞めた人が受け取っていたかを確かめてください。話し合いで進まなければ、宮城県のQ&Aが案内するとおり、労働局や労働基準監督署内の総合労働相談コーナーに相談できます。
迷ったら最初にやること
退職金の条件は、辞める前に確かめておく方が動きやすいです。次の順で進めると整理できます。
- 就業規則と労働条件通知書で、上の確認表の8項目を埋める
- 規則の条件を満たしているなら、退職日と支払いの時期をメモしておく
- 会社と揉めそうなら、最初から労働組合か弁護士の退職代行を選ぶ
退職代行そのものを比べたい人は「退職代行おすすめ比較ランキング」も見てください。退職金が気になる人は、運営元で選ぶのが近道です。
































