【2026年】パワハラで辞めたい人の退職代行|6類型の判定表と証拠・慰謝料

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パワハラがつらくて、会社にもう行きたくない。上司と顔を合わせず、できれば一言も交わさずに辞めたい。そう考えて退職代行を探している人は多いと思います。

結論から書くと、パワハラが理由でも退職代行で辞められます。ただし「辞めること」と「慰謝料や謝罪を求めること」は別の話で、後者は弁護士の領域です。この記事では、パワハラの定義と6類型を厚生労働省の原文で確かめたうえで、頼む先の選び方まで書きました。

パワハラで辞める 退職代行と証拠

先に結論だけ
  • パワハラは3つの要素をすべて満たすものをいう。上司に怒鳴られたことが、そのままパワハラとは限らない
  • 期間の定めがない契約なら、退職の申し入れから2週間で辞められる(民法627条)。証拠がなくても退職はできる
  • 辞めるだけなら労働組合か民間の退職代行で足りる。慰謝料など責任を問うなら弁護士
  • 慰謝料の金額は、厚生労働省にも法律の原文にも書かれていない。この記事でも金額は書かない
  • メモ・診断書・やり取りの記録は、辞める前から残しておくと話が進めやすい

パワハラは3つの要素がそろったものをいう

あかるい職場応援団(厚生労働省のポータルサイト)には、職場のパワーハラスメントとは次の3つをすべて満たすものだと書かれています。

要素 原文の説明
優越的な関係を背景とした言動 言動を受ける側が、行為者に抵抗や拒絶をすることができない蓋然性が高い関係。職務上の地位が上の人のほか、業務に必要な知識や経験を持つ同僚・部下、集団による行為も含まれる
業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの 社会通念に照らして、明らかに業務上の必要性がない、または態様が相当でないもの
労働者の就業環境が害される 身体的・精神的な苦痛で、働くうえで看過できない程度の支障が生じること。「平均的な労働者の感じ方」が基準

同じページには、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラに当たらないとも書かれています。

つまり「きつく言われた」だけでは足りません。ただ、労働者に問題行動があった場合でも、人格を否定するような言動は業務上必要かつ相当な範囲を超えます。その場合はパワハラに当たり得るとされています。

頻度や継続性は考慮されます。強い苦痛を与える言動なら、1回でも就業環境を害し得るという説明も添えられています。

6類型と「該当すると考えられる例/しにくい例」の判定表

厚生労働省は、パワハラを裁判例などをもとに6つの類型に整理しています。指針(令和2年厚生労働省告示第5号、令和8年10月1日適用版)には、類型ごとに「該当すると考えられる例」と「該当しないと考えられる例」が載っています。その中身を表にしました。

類型 該当すると考えられる例 該当しないと考えられる例
身体的な攻撃
(暴行・傷害)
殴打や足蹴り。相手に物を投げつける 誤ってぶつかる
精神的な攻撃
(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
人格を否定する言動(性的指向・性自認への侮辱を含む)。必要以上に長時間の厳しい叱責を繰り返す。他の労働者の面前で大声の威圧的な叱責を繰り返す。能力を否定して罵倒する内容のメールを、本人を含む複数人に送る 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が再三の注意でも直らない人に、一定程度強く注意する。業務上重大な問題行動をした人に、一定程度強く注意する
人間関係からの切り離し
(隔離・仲間外し・無視)
意に沿わない人の仕事を外し、長期間別室に隔離する、または自宅研修をさせる。同僚が集団で無視して職場で孤立させる 新規採用者の育成のために、短期間集中的に別室で研修をする。懲戒処分を受けた人が通常業務に戻る前に、一時的に別室で研修を受けさせる
過大な要求
(不要・遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
長期間にわたり、肉体的苦痛を伴う過酷な環境で、直接関係のない作業を命じる。新卒に必要な教育をせず到底対応できない業績目標を課し、達成できないと厳しく叱責する。業務と関係のない私的な雑用を強制する 育成のために、現状より少し高いレベルの業務を任せる。繁忙期に、業務上の必要から通常より一定程度多い業務を任せる
過小な要求
(合理性なく程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない)
管理職を退職させるために、誰でもできる業務をさせる。気に入らない人に、嫌がらせで仕事を与えない 能力に応じて、一定程度、業務内容や業務量を軽くする
個の侵害
(私的なことに過度に立ち入る)
職場の外でも継続的に監視する。私物の写真を撮る。性的指向・性自認や病歴・不妊治療などの個人情報を、本人の了解なく他の労働者に暴露する 配慮のために、家族の状況をヒアリングする。本人の了解を得て、必要な範囲で人事労務の担当者に伝え、配慮を促す

表を使うときの注意

この表の例は、すべて「優越的な関係を背景に行われたもの」が前提です。指針は、個別の事案の状況によって判断が異なる場合があること、例は限定列挙ではないことにも触れています。

右の列に当てはまりそうでも、そこで諦める必要はありません。逆に左の列に似ていても、最終的な該当性は経緯や頻度、受けた側の状況まで含めて決まります。自分の件がどちらに近いのかは、労働局の窓口か弁護士に聞くのが確実です。

パワハラで辞めるとき、退職代行でできること

退職の連絡を代わりに入れてもらえるので、行為者と直接やり取りする場面は減ります。ただ、辞め方のルールは契約の種類で変わります。

期間の定めがなければ、申し入れから2週間

民法627条は、雇用の期間を定めなかったとき、各当事者がいつでも解約の申入れをできると定めています。雇用は申入れの日から2週間で終了します。パワハラの証拠が揃っていなくても、この条文で辞める道は残っています。

出社できないほどつらいときの流れは、「休職中でも退職代行で辞められる?」にも書きました。

契約期間がある場合は別のルール

契約社員など期間の定めがある場合、民法628条は、やむを得ない事由があれば直ちに契約を解除できるとしています。ここでいう「やむを得ない事由」の具体例は、条文にも厚生労働省の資料にも書かれていません。

パワハラなら必ず当たると言い切れる材料は、原文にないということです。判定表と詳しい考え方は「契約社員は契約期間の途中で辞められる?」にまとめています。

目的で頼む先が変わる

目的 向く頼み先 理由
とにかく早く辞めたい。会社も争う様子はない 労働組合・民間企業 退職の意思を会社に伝える役が中心。費用も抑えやすい
退職日や条件を会社と話し合いたい 労働組合 団体交渉で話し合える
慰謝料や謝罪を求めたい。会社と争いそう 弁護士 会社や行為者への請求は、代理人になれる弁護士の仕事

運営元ごとの違いは「労働組合の退職代行とは」と「弁護士の退職代行とは」に詳しく書いています。

退職代行に相談している様子

慰謝料はいくらもらえる?原文に金額はありません

検索すると慰謝料の金額を書いた記事がいくつも出てきます。でも厚生労働省のあかるい職場応援団にも、労働施策総合推進法の条文にも、金額は載っていません。そのため、この記事でも金額は書きません。

原文で確認できるのは、次の2点です。

原文に書かれていること
  • パワハラの行為の内容によっては、暴行罪・脅迫罪・侮辱罪などの刑事上の責任や、民事上の損害賠償責任を問われる場合がある(あかるい職場応援団)
  • 事業主は、パワハラで就業環境が害されることのないよう、相談に応じ適切に対応するための体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない(労働施策総合推進法)

同じ法律には、労働者が会社にパワハラの相談をしたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないという定めもあります。

どこまで請求できるか、いつまでに動く必要があるかは、事案ごとに違うはずです。辞める前に弁護士へ相談しておくと、記録の残し方も含めて助言をもらえます。

証拠として残しておきたいもの(チェックリスト)

録音やメモが裁判や話し合いでどう扱われるかは、今回確認した原文には書かれていません。ここでは「残しておくと説明しやすいもの」を並べました。指針が、パワハラかどうかの判断で考慮する要素として挙げている項目に沿っています。

残すもの 何を説明するのに役立つか
日時・場所・言われたこと・その場にいた人のメモ(その日のうちに) 言動の態様・頻度・継続性
メール・チャット・メッセージの画面 言動の内容。複数人宛てに送られたかどうか
業務の指示の内容と、そう言われた経緯 業務上必要かつ相当な範囲を超えていたか
行為者の役職と、自分との上下関係 優越的な関係を背景にしているか
病院の診断書・通院の記録 苦痛の程度と心身の状況。あかるい職場応援団も、不調が出たら速やかに専門医の診断を受けるよう案内している
会社の窓口や上司に相談した日と、会社の返答 会社が相談に応じ適切に対応したか
雇用契約書・労働条件通知書・就業規則 契約期間と退職の手続き

録音するかどうか、社内の書類やデータを手元に残してよいかは、判断に迷うところです。就業規則との関係もあるので、迷うものは弁護士か総合労働相談コーナーに聞いてからにしてください。

なお、証拠がなければ退職代行を使えない、ということはありません。上の表は、あとで責任を問いたくなったときのための備えです。

離職理由・労災・相談窓口の扱い

離職理由はハローワークで確認する

ハローワークの「特定受給資格者の範囲」には、上司や同僚などからの故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせを受けて離職した人が入っています。パワハラで辞めた場合に、この範囲に当たるかどうかが関わってきます。

当てはまるかどうかは離職の事情で変わるので、手続きの前に最寄りのハローワークで聞いてください。体調を崩して辞める場合は、心身の障害・疾病・負傷による離職を挙げた別の枠(特定理由離職者)もあります。失業保険の全体像は「退職代行を使うと失業保険はもらえる?」にまとめました。

心身の不調は労災の対象になり得る

厚生労働省のパンフレットによると、仕事が主な原因で発病した精神障害は、労災認定の基準で判断されます。労働基準監督署が、発病前おおむね6か月の間に起きた業務による出来事を評価します。

会社が事業主の証明を拒んだ場合でも、労災の請求はできます。パンフレットにそう書かれています。相談先は都道府県労働局か労働基準監督署です。

総合労働相談コーナーは無料で予約もいらない

厚生労働省の総合労働相談コーナーは、いじめ・嫌がらせ、パワハラも対象にしています。予約は不要で、利用は無料です。「助言・指導」や「あっせん」の案内もしています。土日祝日と年末年始は閉庁なので、平日に連絡してください。

状況別のおすすめ。迷ったときの頼み先

最後に、状況ごとの頼み先を整理します。料金は、2026年9月時点で当サイトが各社の公式サイトを確認した数字です。

辞めることが第一で、会社と話し合う余地がありそうな人

労働組合が運営する退職代行が合います。男の退職代行は、正社員・契約社員・派遣社員・公務員などで21,800円+組合費1,000円(税込)です。追加費用なしで、全額返金保証があります。

女性なら、同じ運営の【わたしNEXT】(21,800円+組合費1,000円)も選べます。

慰謝料や謝罪を求めたい、会社と争いそうな人

弁護士の退職代行を選んでください。ガイア総合法律事務所は、2026年9月時点で3つのプランがあります。25,300円は退職の意思を伝えるのみ。55,000円はアフターフォロー付き。77,000円はあらゆる雇用形態に対応するプランです。

慰謝料の請求まで頼めるかどうかは、プランごとに違うかもしれません。申し込む前に公式サイトか問い合わせで確かめてください。

とにかく今の職場から離れたい人

期間の定めがない契約なら、2週間という期限が目安です。ほかのサービスも見比べたい人は「退職代行おすすめ比較ランキング」を見てみてください。

法律や制度の説明は一般的な内容で、個別の事案の判断ではありません。パワハラに当たるか、慰謝料を請求できるかは、労働局の窓口か弁護士に確認してください。

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