【2026年】退職代行と労基署の違いは?総合労働相談・法テラスの使い分け表

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退職のことで会社と揉めそうなとき、相談先は退職代行のほかにもいくつかあります。労働基準監督署、総合労働相談コーナー、法テラス。名前は聞いたことがあっても、どこが何をしてくれるのかはなかなか分かりません。

先に違いだけ書いておきます。公的な窓口は、相談に乗って法令の情報を示す場所です。場合によっては会社との間に入り、話し合いも促します。公式ページを読むかぎり、本人に代わって会社へ退職の意思を伝える業務は挙がっていません。それを引き受けるのが退職代行です。どちらを選ぶかというより、困りごとごとに使い分ける関係になります。

退職代行と労基署 窓口の使い分け

先に結論だけ
  • 賃金不払いなど労働基準法の違反は労働基準監督署。退職の効力など民事の問題は総合労働相談コーナー
  • 総合労働相談コーナーは全国378か所、予約不要・無料。土日祝日は閉庁
  • あっせんは会社が参加しなければ打ち切り。受け入れを強制する力もない
  • 夜間や土日は労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)が使える
  • 弁護士費用が心配なら法テラスの無料法律相談。収入などの条件がある
  • 会社に連絡したくない、連絡が取れないなら、連絡役を引き受ける退職代行を選ぶ

相談できる窓口を一覧で比べる

引き止めの言葉ごとの法的な位置づけは「会社が退職を認めないときの対処」に書いています。この記事は、窓口そのものの比較に絞ります。

窓口 向いている相談 できること できないこと・限界 費用・受付
労働基準監督署 労働時間・賃金・解雇など労働条件、安全衛生、労災保険 相談を受ける。労働基準法などの違反を申告できる(労基法104条) 退職の効力など民事の問題は総合労働相談コーナーの担当 無料。月〜金の8:30〜17:15(祝祭日・年末年始を除く)
総合労働相談コーナー 解雇・雇止め・賃金引下げ・いじめ・パワハラなど、あらゆる労働問題 情報提供と相談。助言・指導、あっせんの案内と申込み 労基法違反の疑いは労基署などに取り次ぐ。本人に代わって退職を伝える業務は挙がっていない 無料・予約不要。土日祝日と年末年始は閉庁
労働条件相談ほっとライン 労働基準関係の法令に関する悩み(賃金不払残業など) 電話で相談できる。匿名でも相談できる 電話相談。法令や判例などの情報提供や、関係機関の紹介が中心 無料。月〜金17:00〜22:00、土日祝9:00〜21:00(12月29日〜1月3日を除く)
法テラス 弁護士に相談したいが費用が不安な場合 弁護士・司法書士の無料法律相談。依頼する段階では費用の立替制度もある 収入・資産の基準などの条件がある。審査が必要 無料相談は1つの問題につき3回まで。サポートダイヤルは平日9〜21時・土曜9〜17時
裁判所(労働審判) 賃金不払いや解雇など、個々の労働者と事業主のトラブル 原則3回以内の期日で、話し合いと審判による解決を図る 申立ての準備と主張の整理が必要。異議が出れば訴訟へ移る 申立ての手数料がかかる
退職代行 会社に自分で連絡できない、連絡したくない 退職の意思を会社に伝える。運営元により交渉も 運営元で範囲が違う(後半の表) 有料。料金は後半の表

労働基準監督署の受付時間と総合労働相談コーナーの案内は、厚生労働省のページで確かめました。ほっとラインの時間と番号も同じです。法テラスは公式サイトの記載です。

労働基準監督署と総合労働相談コーナーの分かれ目

厚生労働省の「確かめよう労働条件」のページは、窓口をこう分けています。労働基準法に関する問題の窓口は、労働基準監督署です。退職や解雇、雇止めの効力のような民事的な問題は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで相談できます。

総合労働相談コーナーのページにも書かれています。労働基準法などの違反が疑われるときは、行政指導の権限を持つ労働基準監督署などに取り次ぐそうです。入口を間違えても回してもらえるので、迷ったら総合労働相談コーナーに電話するのが手堅いです。

総合労働相談コーナーは「378か所」ある

都道府県労働局や全国の労働基準監督署の中などに、あわせて378か所が設けられています。専門の相談員が面談か電話で対応し、予約は不要です。外国人労働者の相談や、学生・就活生の相談も受けています。

開庁時間は場所で違います。たとえば北海道労働局の総合労働相談コーナーは9:00〜17:00です。札幌中央は9:00〜16:30、函館は9:00〜16:00で、どこも12:00〜13:00は除かれます。専門の相談員が不在の日時もあるため、予約制ではないものの、行く前に電話で確かめておくよう案内されています。

労働基準監督署に動いてもらうには「申告」

労働基準法104条は、事業場にこの法律などに違反する事実があるとき、労働者がその事実を行政官庁か労働基準監督官に申告できると定めています。申告したことを理由にした解雇や不利益な取扱いも禁じられています。

最後の給料が払われない場合の手順は「退職代行で最後の給料はいつ入る?」に、未払いの残業代は「退職代行で未払い残業代は請求できる?」にまとめています。

あっせんと労働審判:話し合いの強さが違う

総合労働相談コーナーでは、情報提供のほかに「助言・指導」と「あっせん」を案内しています。いずれも無料です。どちらも労働者と事業主のどちらからでも利用できます。

あっせんは、弁護士や大学教授、社会保険労務士などの紛争調整委員が間に入る手続きです。双方の主張の要点を確かめて、話し合いを促します。非公開で行われ、原則として双方は別室で待機します。

ただ、あっせんには限界があります。厚生労働省のページには次のように書かれています。

  • 相手が参加しない場合は、あっせんは行われずに打ち切りになる
  • あっせん案が出ても、その受諾を強制するものではない
  • 労働組合と事業主の間の紛争や、裁判で争っている紛争は対象にならない

対象外の例には、労働組合と事業主の間で問題として取り上げられ、自主的な解決に向けて話し合いが進んでいる紛争もあります。労働組合の退職代行で団体交渉を始めた件は、この点に注意してください。

比べる点 助言・指導 あっせん 労働審判
どこで 都道府県労働局 都道府県労働局の紛争調整委員会 地方裁判所
費用 無料 無料 申立ての手数料がかかる
進め方 紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示す 委員が双方の意見を調整する 原則3回以内の期日で審理し、調停か審判を行う
相手が応じないとき 紛争の当事者による自主的な解決を促す手続き 不参加なら打ち切り 審判に異議があれば訴訟へ移る
手続きの性格 簡易・迅速・秘密厳守とされる 簡易・迅速・秘密厳守。非公開で行う 訴訟と違って非公開

労働審判について、裁判所のページに数字が載っています。平成18年から令和6年までに終了した事件の平均審理期間は82.6日で、65.5%は申立てから3か月以内に終わっています。異議の申立てがなければ労働審判は確定し、内容によっては強制執行の申立ても可能になります。異議は2週間以内にできるので、その場合は訴訟に移ります。

退職代行に相談している様子

場面ごとの窓口の選び方

困りごとから逆引きするとこうなります。左の場面に当てはまるものを探してください。

場面 最初に使う窓口 うまくいかないとき
会社に連絡できない、したくない 退職代行 会社が交渉を求めてくるなら労働組合か弁護士に切り替える
退職届を受け取らない、認めないと言われた 総合労働相談コーナー(民事の問題) 交渉が要るなら労働組合・弁護士の退職代行
最後の給料や残業代が払われない 労働基準監督署(申告)。電話ならほっとライン 金額に争いがあるなら弁護士か労働組合
退職を理由に損害賠償を言われた 総合労働相談コーナー(損害賠償をめぐる紛争も対象) 法テラス、弁護士
いじめ・パワハラが理由で辞めたい 総合労働相談コーナー 退職代行を併用する。証拠の集め方は別の記事
平日の昼に動けない ほっとライン(夜間・土日祝) 平日に動ける日を作って窓口へ
弁護士に頼みたいが費用が出せない 法テラスの無料法律相談 条件に当てはまれば費用の立替制度

損害賠償を言われたときの動き方は「退職代行を使うと損害賠償を請求される?」に、パワハラの証拠の集め方は「パワハラで辞めたいとき退職代行は使える?」に書きました。

公的窓口と退職代行は併用できる

公的窓口で相談して方針が決まっても、会社への連絡は結局自分でやることになります。そこが重くて動けないときに、退職代行が連絡役を引き受けます。

組み合わせの例です。

  • 退職の連絡は退職代行に任せ、最後の給料が遅れたら労働基準監督署に申告する
  • 総合労働相談コーナーで状況を整理してから、必要な運営元の退職代行を選ぶ
  • 損害賠償を言われたら、法テラスで弁護士に相談しつつ、弁護士運営の退職代行を検討する

相談に行く前に次の4つをそろえておくと、話が早く進みます。雇用契約書か労働条件通知書と給与明細、それに退職届のコピーと会社とのやり取りの記録です。

退職代行は運営元で動ける範囲が違う

弁護士法72条は、弁護士や弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことを業とするのを禁じています。民間企業の退職代行は、本人の意思を伝える役割にとどまると考えられています。詳しくは「退職代行は違法?」を見てください。

運営元 会社との交渉 当サイトで見ているサービス(2026年9月時点)
民間企業 意思を伝えるまで。交渉はできない 退職代行 即ヤメは24,000円(公式サイトではキャンペーン価格として表示)。完全後払い制
労働組合 団体交渉で退職日や条件を話し合える 男の退職代行は21,800円+組合費1,000円。追加費用なし・全額返金保証
弁護士 交渉に加え、金銭の請求にも対応できる ガイア総合法律事務所は25,300円(意思を伝えるのみ)、55,000円(アフターフォロー付き)、77,000円(あらゆる雇用形態に対応)

労働組合と弁護士の違いは「労働組合の退職代行とは」で整理しています。公的窓口を使わずに、自分で退職を伝える流れは「退職代行を使わない退職の流れ」にあります。

迷ったときの決め方

状況別に、頼み先をまとめます。

まず会社への連絡を肩代わりしてほしい人

団体交渉もできる労働組合の退職代行なら、会社が退職日や条件で渋っても対応してもらえます。

女性なら、同じ労働組合が運営する【わたしNEXT】も選べます。

賠償や未払いの金額で揉めそうな人

金銭の請求や、会社からの請求への対応が絡むなら、弁護士運営の退職代行です。公的窓口の相談とも併用しやすいです。

ほかのサービスも比べたいときは「退職代行おすすめ比較ランキング」を見てみてください。

料金は2026年9月時点で各サービスの公式サイトを確認したものです。窓口の受付時間や電話番号は、2026年10月に厚生労働省・法テラス・裁判所のページで確かめましたが、変わることがあります。相談の前に各窓口の案内もご確認ください。個別の事情の判断は、窓口や弁護士にご相談ください。

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